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<ネタバレ>本作の「未熟児なるもの」は誰がどう説明を施したところで、怪物である。視覚経験上それが未知なる何かであることがその証拠なのだが、なぜその未知なる怪物に何の説明も施さずにいられるのかという問いの発現こそがリンチの才を発見する口実であったように思う。わたしは未熟児の体調を心配して加湿器をあてている画に触れ、笑いを抑止できなかったのだが、それこそ未知なる才に気が触れた瞬間、シュールレアリスムの精神を正統に受け継いだ同時代の監督との遭遇であった。『イレイザーヘッド』は『勝手にしやがれ』や『ストレンジャーザンパラダイス』と同様に、大監督にふさわしい生気を纏った傑出したデビュー作である。