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<ネタバレ>余命少ない人間が崩壊した家族を取り戻そうとする。いわば定番のプロットだが、美容師コンテストと絡ませることで映画としての魅力をそちらに転嫁し、佳作となり得ている。シドニー・ポラックはこういったごまかし気味に良質のドラマを仕立てるのが巧い。「自分で家族崩壊させたくせに何をいまさら・・・プゲラ」といった批判を正面から受けずにすむ術を知っている。この作品では洗練されたスタイリングという期待を裏切らず(サンドラの変貌ぶりは見事)、ベタだが心躍らされる音楽、次第に姿を変え調子付いてくる市長ら脇役の魅力がそれであり、「せめて男と逃げるべきだ」「栄冠を隠す気か」といった粋な台詞も勿論それである。 というか何というか、レイチェル・リー・クック。 一回戦でヘアブローされる洗練されたレイチェルもいいけど、何といっても最終戦直前、自ら髪を切り捨て、短髪、無言で父親を見詰めるリー・クックは別格。小動物のような骨格と、つるんとした肌、怯えながら責め立てるような少し潤んだ瞳。 あぁ、レイチェル。 あぁ、リー・クック。そんな目で見ないで。そんな目で見られちゃったら僕はもう・・・ っと、危ない危ない。 もうちょっとでシャンプー台のむこうに行ってしまうところやった。