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<ネタバレ>役のために鬼に徹した岩下志麻の女優魂。しがない町工場の、くたびれた女房風情。鬼気せまる、それでいて尚、色香を感じさせる凄い女優。近年で、お梅役を彼女以上にこなせる女優は思いあたらない。小川真由美扮する実母の菊代、あそこまで育てた我が子を、ああも簡単に捨てられるのか。お梅にされるだろう酷い仕打ちを考えれば、恐ろしくて二の足踏みそうなもの。何の情も感じさせない、割り切りかたは正に鬼畜。緒形拳は、追い詰められていくダメ亭主ぶりが巧い。しかしあの亭主、愛人に頼みこんでまで産ませた子を…、あそこまできたら他に選択肢はなかったのか?自分が不幸な生立ちなら、長男の辛さを一番理解できるだろうに、結果として、我が子にそれ以上の不幸と苦痛を与えているというのは救いがない。最後の悔恨の涙も子供のためというよりは自分のため、なんて白々しい。子役の配役は悪くなかったが、セリフの棒読みに何度我に返らされたことか 笑。もっと上手い(小利口でなくて)子役を使い、中途半端でなく完全に、父親に対して決別宣言をしてほしかった。父親面するんじゃない!子供舐めるな!血の繋がりくそ食らえ!という表現に徹してくれたら泣けた。(6歳の子供にはちと難しいとは思うが)それにしても後味が悪い映画。末っ子役の男の子、トラウマになってやしないだろうか?それが気になる。(6点だけど、大人役者の演技に+2点。)