<ネタバレ>今の日本に起こりうる、フィルムノワール。
ファム・ファター .. >(続きを読む)[良:2票]
<ネタバレ>今の日本に起こりうる、フィルムノワール。
ファム・ファタール的な存在である、ユカも今の日本ではありふれているリアルな女性像。恋愛経験が乏しく、人生に傷ついた男性が、幻想を抱きそうな女性。
しかしその実は強かで、ごく普通な女の子であり、勝手な妄想を抱く男達(安藤、森田)の世界への微かな望みを打ち砕く存在でもある。
その現実との地続き感が故に、この物語が生々しく、辛い。
安藤が踏み留まった線を越えてしまった森田。その対比も痛々しい。
いじめという過去が原因と決めつけるには、あまりにも短絡的に思えてしまうほどの、逃れられない負の連鎖、日本社会の閉塞感を感じる。
物語中盤におこる思わぬ視点移行は、そのまま話しに推進力を与え、ジャンルの横断にも繋がる。そして世界が持つ多面性、無常感を痛烈に提示する。
計算されたカメラアングル、カット割りによる生理的に不快な殺人描写も洗練されている。
登場人物への容赦ない追い込みは、そのまま強制的に自分の人生をも振り返らされる辛さも備えていた。[良:2票]