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<ネタバレ>映画の途中から、松たか子演じる森口先生の行動が法に抵触するか否かについてを無意識に考えながら見ていたが、
証拠も残っていない牛乳の一件を狂言だと言い張れば、精神的に追い詰めた以外、結局何の罪も犯していない
(倫理的には当然アウトだが)のではないだろうか。
最後の爆破すら、あくまでも少年の脳内再生であり、実際にどうだったかを観る側に確信させるものは何も無い。
装置を解除した爆弾を再びセットして持参したとしても、科学者である母親がその仕組みを理解しないはずもないし
爆弾を起動状態のまま放置するはずもない。それにこっそり隠し置いたわけでもなく、実際にはセットすら
していないと思った。
担任ウェルテルに対して親身に(笑)アドバイスした内容も、ごく一般的な熱血さゆえのそれであり、そこに無関係の
第三者が悪意を感じ取ることはできない。
この映画を見終えてじわじわと頭にもたげてきたものは、善悪がひっくり返ったような価値観の不安定さ。
殺人を非難する善意の生徒たちによる(幼女殺人と比べるとごく)たわいもない復讐、生徒たちを理解しようと
がむしゃらに職務に励む熱血教師、方や冷血漢で指導への熱意もなく個人的復讐に燃える女教師、
指導者たちが憧れるカリスマ教育者作家、子供をただひたすら信じて尽くす優しい母親、ただただ母親に愛されたかった息子
この中で現実なら一番嫌悪するはずの冷血女教師、私の共感はもはや彼女にしか存在しなくなっていた。