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<ネタバレ>今だったら双方から全財産身包みはがされてポイッと捨てられてもおかしくない情けない男の周囲の、背筋に一本線の入ったような女たちのお話。
昔の女性ってこれほどまでにガマンを強いられていたのね・・・と現代女性の地位向上までの道程に思いを馳せつつ遠い目をしてみる。大体「余力」で女一人の人生を買い上げる甲斐性もない男が愛人なんて構えちゃダメ。「何もそこまで言わなくても・・・」と両方の女たちに影響力を及ぼせなくなった男の背中が妙に哀しい。でもこの二人の女は案外幸せな人生を終えるかも。一人の女はやっと日陰を脱して普通の奥さんに、そしてもう一人は暖かい家庭とはいえなくても世間から羨ましがられる裕福な大学教授の妻のままで・・・。電車で隣り合った幸せそうな親子連れをみる女が痛々しかったが、きっと愛人だけでなく、独身の男女も、子持ちの未亡人も、子供のいない夫婦も、妻に先立たれた子持ちのやもめ男も、貧乏で子供にキャラメルを買ってやれない親だって「自分が欠損している」と思えば「痛い」のだ。先の幸せそうな夫婦だって何か欠けていると悩んでいるかもしれない。結局他人をひがんでいるときの人間は人間くさくてある意味醜い。あ、そうそう、愛人同士の宴会は豪華で見ごたえがあった。淡路恵子ってやっぱりクールだね。