何とも気味が悪い上に後味も悪いストーリーで、観終わった後、言 .. >(続きを読む)
何とも気味が悪い上に後味も悪いストーリーで、観終わった後、言いようのないモヤモヤ感に包まれた。自分としては分かりやすい映画が好きなので、こういう映画は低評価をつけがちなのだが、それはできない。何せ心に残るものが大きすぎる。端的に言うとこの監督の嫌らしさが大好きなのだ。
★あらすじ★
知的障害者の息子が女子高生殺人犯として捕まった。真犯人探しに狂奔する母親。果たして母親は息子を助けることが出来るのか。。。
上のあらすじを読めば、まあまず間違いなく感動系の作品を誰もが期待するだろう。ラストシーンの法廷で、審理は意外な方向へ展開し、皆があっと息を呑む真犯人が逮捕される。抱き合う母と息子…という感じの。
でもこれが全っ然そんな作品じゃない。ネタバレしないためには、あまり多くは書けないが、母親と息子の複雑な関係性や息子の悪友、悪徳弁護士なども絡んできて、一筋縄ではいかない話になっちゃう。ここら辺の持って行き方がジュノ監督ならではで、ちょっとコミカルな状況とかシーンとかを散りばめながらうまいこと進めていく。社会派映画とエンターテイメントの狭間を突いてくる感じがツボ。
そして、最後には思いっきりズーンと落としてくる。あのラストシーンは「レスラー」を超えて今年一番だったかもしれない。プロローグのシーンともつながり、構成のうまさも感じる。おばさんが意味不明なダンスを踊るどちらかと言うと変なシーンなのだが、事件の全貌が分かってラストで観るとべっとりとどす黒い雰囲気。非常に簡単に言うと「心の闇」が凝縮されているシーン。最高。
涙が出なくても、爆笑しなくても傑作は傑作です。この映画が好きな人は同じ監督の「殺人の追憶」も是非観てみてください。期待を裏切らないゴツさですから。