<ネタバレ>この映画をどう観るかはその人が今までどんな恋愛をしてきたかに .. >(続きを読む)[良:2票]
<ネタバレ>この映画をどう観るかはその人が今までどんな恋愛をしてきたかによってかなり異なると思う。私にとって、この映画は非常に「哀しい」映画だった。そして、同時に「正しく」生きていこうと決意するきっかけになった。
まず、筋はありえなさそうでありえそうな、日常の中の非日常といった感じ。若者向けのメルヘンとしては良いところを衝いている。その後の展開も特におかしな点は無かった。
キャストの面から見ると、妻夫木も池脇もとても良い演技をしていたと思う。妻夫木はイケメンだが普通の大学生を、池脇はエキセントリックな中にも可愛げのある女の子を好演していた。板尾の自然な演技も光る。関西弁はよく分からないが、上野が不自然で池脇のが可愛いと思った。博多弁はちょっといただけない部分もあるが、まあまあ合格点か。
さて、何が「哀し」かったかだが、やはりラスト付近の妻夫木の嗚咽だろう。「守る」と決めた人間を守れなかった口惜しさ、彼女に対する罪悪感、自分に対する慰めなどの全てが詰まった涙だったのではないか。彼を責めることは容易い。しかし、私にはそれはできなかった。自分も他人を捨てたことがあるから。別れの予感があるにもかかわらず一度は受け入れ、そして切り離すのはあまりにも残酷な行為ではないか?彼も私も残酷だったということだ。池脇が「帰れと言われて帰る奴は帰れ!」と妻夫木を詰りながら、背中に縋って泣くシーンがあるが、私は心の中でずっと「帰れ!帰れ!」と叫び続けていた。映画として成り立たなくなるけど。「帰れ」と言われて、いったん帰ろうとする人間には相手を救うことなど結局は出来はしない。そもそも「救う」という考え方が心の中に入り込んでいる時点で非常にその恋愛は難しくなる(と思う)。それが出来る人を私は尊敬する。私も含め大部分の人間はそれが出来ないのだからそういう恋愛をする権利は無い。だが、1回目は分からない。私のように傲慢な人間は本気で救えると勘違いする。しかし絶対に繰り返してはならない。ちょっと長いけどこう思った。
映画に戻るが、ラストの料理のシーンは救いだ。だが、病んだ私には彼女の神々しい背中は彼岸のもののように映った。[良:2票]