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<ネタバレ>1980年代ホラー映画ブームの爛熟期にあって、なお異彩を放っていた怪作。一言でいえば悪趣味の極みなのだが、その悪趣味が多角的でスプラッターとは別種の不快さを有するから、観賞には注意が必要。流れるのは血ではなく溶けてゲル状と化した内臓や骨肉であり、この映像が凄まじい。また、登場人物の多くは社会の最底辺の住人で、彼らの行状を観るうち目を背けたくなる向きもあろう。貧しさゆえに腐った安い酒を飲んだ挙句に溶けてしまう末路には気が滅入る。さらに、精神に失調をきたしているベトナム帰還兵のバイオレンス描写も陰惨。/しかし、陰陰滅滅で終わらない破天荒なバイタリティが本作の魅力である。極限状況で投下されるブラックジョークの数々。最後には弱者が強者に勝つ痛快エンタテインメントの要素も備えている。溶けていくギャングのボスをチンピラが笑い飛ばすエンディングにはカタルシスさえ感じられるではないか。/タイトル情報によると、ミューロー監督は本作以降は撮影専門で、監督作品はこれ一本きりとのこと。筆者は残念に思うのだが。