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<ネタバレ>楽聖映画ってジャンルが昔はあったが、これはそれよりも、どちらかというとミステリー映画だった。「彼の不滅の恋人とは、音楽の女神のことだった」なんてなるんじゃないかと心配してたら、ちゃんと答えがあるのがいい。誤解のポイントに説明があって、一応推理ものとしてずるくない。16番の弦楽四重奏曲の楽譜に書き込まれていた言葉も使われていたりする(ただしそのときバックに流れていたのは13番)。馬車のぬかるみって伏線もあって(クロイツェル)、それらの解答が第九を背景に出てくる仕掛け。「月光」をピアノの蓋に共鳴させて耳当てて弾いているとこ、作曲家が聴覚を失っていく痛ましさが、彼の孤独とともに出ていた。甥への溺愛に自分の少年時代が重なる、この溺愛もまあ、伏線ってことになるんだけど。