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<ネタバレ>このもと封建地主、保守的なのではない。ミシン教室も開き野球もする。農村文化の振興おおいにけっこう、ただその旗振りは勘弁してくれ、というところ。ダンス教室もいいが自分は踊らない、柔道していたころを回顧する。和尚の娘を連れ戻すことを頼まれても、まあこういう生き方(ヤミ)もあろうと帰ってくる。村長になる気はない。時代に対するこのスタンスに、とても共感できた。家が重しになって働けなかった、でもこれで自由になれた、というラスト、「終」ではなく「始」と出る。古い拘束に対するヤンワリとした批判、これは新東宝の映画で、おそらく当時の東宝だったらもっと戦闘的に封建的なものを槍玉に挙げていただろう。でも裏を表に返しただけの民主主義演説映画よりこっちのほうが実感がこもってるし、名画として残ったのもこっちだった。家を横切る長い移動撮影が印象的だが、借金取りを見かけてロバだけを家に帰すあたりの、のどかな詩情も捨て難い。