香川照之っていいな、と思い出したのはいつからだったか、『犬、 .. >(続きを読む)
香川照之っていいな、と思い出したのはいつからだったか、『犬、走る』のシャブ中の刑事は印象深かったが、これの香川も良かった。断念を秘めた情熱家、あるいは情熱を残した断念者。内側が複雑になっちゃってる人をやると、あのボーッとした表情がすごく生きてくる。これは過去の点検の話で、現在から見た70年代の点検、あの革命の気運は何だったのか、という問いかけ。世の中を良く変えていきたいという欲求は、なぜ空回りしてしまったのか。「骨まで愛して」を求めていた人々へ、ロシア民謡を歌いかけていたそのズレ。それが死のモチーフとどう絡み合っていくのかが、もひとつ不鮮明だったけど。歌が生まれる前の沈黙に耳を澄ますこと、しかし沈黙の後で必ず歌が生まれるとは限らない。歌は無意味だから美しいんだよ、だったかな。