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<ネタバレ>最初は字幕で見てたんだけど、あ、これは吹き替えのほうが味わいでるぞ、と途中で切り替えた。するとけなげな子どもはよりけなげに、いじわるなハインズさんはよりいじわるに、くどくなる分ドラマの輪郭がクッキリした。それで原作の古さによるちょっと引っかかるところ(左翼的に見れば忠義推奨・階級差是認の保守反動)があまり気にならない。古典の様式という枠があれば、ガチガチの封建思想を描く歌舞伎だって平気で感動できるのと同じことだ。そういえばラストのP・オトゥールの“犬あらため”なんて歌舞伎の“首実検”をそのまま裏返しにしたような腹芸の場で、ちゃんと赤塗りの憎まれ役にあたる人物までいる。あそこで泣かない人は鬼畜であろう。ある種の古典的な型は東西さして変わらないのかも知れず、本作ではその洗練された定式ゆえの安定感を充分味わえた。縦断していく英国の冬に向かう風景もまことに美しい。