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この映画の怖さのポイントは「舞台がテーマパーク」という設定だと思う。かつてのモンスターものは、怪獣たちが日常生活に闖入し蹂躙していくのが定番だった。私たちは、日常生活が破壊される恐怖と、日常生活が破壊される快感を同時に味わえた。私たちが私たちの世界に怪獣を迎え入れていた。しかし本作では、私たちが恐竜の世界に入っていく。もちろんこれは初めてのことではなく『ロストワールド』も『キングコング』もあったわけだが、それは「探検」の物語だった。だがこれは「探検ごっこ」である。この「ごっこ」の部分にとても現代性が感じられる。完全に制御されたスリルの場としての遊園地、日常と冒険とが奇妙にねじくれながら絡み合っている場としての遊園地、どんな危険も「ごっこ」の中で牙を抜かれてしまっていたはずのところで、不意に危険と私たちの境の網が破られてしまう。最初の襲撃のシークエンスが白眉だろう。テーマパークに入っていくときの浮き浮きした気分をたっぷり描き、おとなしい草食恐竜だけを見せて、肉食の方は気配だけに抑える。そして素早く「ごっこ」の部分を抜き去ってしまう。ヤギが消えていたり、コップの水が振動で揺れたりのスピルバーグお手のものの演出。しかし何よりも主人公たちが剥き出しにされている感覚、心理的に恐怖にじかに晒されている感覚が怖い。人類はひ弱だが知恵がある、という我々最大の自信が、つまるところ金網一枚だけで支えられていた程度のものだった、という発見が怖いのだ。[良:1票]