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こういう人物を演じた上での笑いというのは難しいと思う。下手すると山下清を見下した笑いになってしまう。たしかに観客は幾多の山下の失敗を笑うわけだけれども、笑いのポイントはその失敗に対する彼のヒョウヒョウとした応対に対しての場合が多く、見下してはいなかった。また失敗を笑うこと自体が即差別かと言うとこれまた難しい問題で、そういう笑いの中にも小さな驚きを秘めた感動が同居している場合もあるのだ。そんなことをあれこれ考えさせられただけでも、貴重な映画だった(つい“障害者の映画”というジャンルでくくって構えてしまうこと自体、差別につながるかもしれないんだけど、でもどうもすんなり観られず意識してしまう困った性格)。監督の設計もあるだろうが、役柄をすっかり手に入れている芦屋雁之助のうまさに安定感。高松宮をスリとダブらせるなんて反骨精神も見事である。ラストの歌、そのものはまあダサいのだけど、山田典吾監督による詞の「天国は空にあるのではなくて地の中にある」というのが力強い。