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<ネタバレ>たぶんテレビのスーパーマンを見たことのある最後の世代です。子どもの頃は風呂敷をマントにしてよく飛んでたなあ。スーパーマンの俳優は自殺したんだよ、って話は子どもの間で流れていたが、あの当時はほかにも、ハリマオの俳優は象に踏み潰されて死んだんだよ、といった類似の噂もあり、一種の都市伝説と思ってた、けど本当だったんだ。どうしてもそういった懐かしさ抜きには見られない映画で、だから映画会社の陰謀話よりもスーパーマン俳優のやりきれなさのほうがグッとくる。白黒撮影用のくすんだコスチューム、実演ショーのヤレヤレ感(おまけに子どもに不死身かどうか試されそうになる)、一番哀切なのは『地上より永遠に』の試写会シーンか。飛躍したくても、もうスーパーマンの呪いから逃げられない(ちょうど撮影のとき吊っていたロープが切れるように)。ハリウッドでは中途半端な成功は、行き止まりと同じことなんだ。俳優同士の嫉妬や隙あらば脚を引っ張ろうというハリウッド社会、いや、そういう積極的な悪意だけでなく、ちょっとしたからかいなどがじわじわと一人の俳優の未来を塞いでいく恐さ、これに比べると陰謀話はかえって小さく思えた。一応亭主の嫉妬事件で、探偵と話はつなげてあるんだけど。