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<ネタバレ>最初の盲目の時計師の逆回りの時計なんてとこはワクワクしたのだが、そういった寓話性は本編に入ると薄れてしまい、せっかくの“逆向き人生”って設定があんまり生きてない。チョコチョコやたら入る現代の病床シーンが、テレビで映画見てるときのCMのように邪魔で、作品をエピソードごとに区切ってしまい、さらに“逆の流れ”を感じさせないようにしている。並列的になってしまうのだ。メイクの技術は立派だが、変化が非線形的というか、カチッカチッと切り替わるので、別人の人生の一場面を歴史順に見ているような気分にさせる。“晩年”の哀切さでやっと設定が生きたが、遅すぎた。つまり、観てるほうが頭の中で「これ逆向きの人生なんだよ」と絶えず注釈を入れてないとうっかり忘れてしまう設定なんで、なんか落ち着けないのだ。定型外の人生によって現代史を語らせるってのは『フォレスト・ガンプ』を思わせるが、あれほど同時代史が関わっているわけでもなく、かえって“逆向き人生”の趣向が薄められた気がする。この監督と意識したのは、ラストのひたひたと寄せる水で『セブン』も水だったなあ、と思い出した程度。