<ネタバレ>交番の警官がわざと自転車を放置しておいて、酔っ払いに「窃盗」 .. >(続きを読む)
<ネタバレ>交番の警官がわざと自転車を放置しておいて、酔っ払いに「窃盗」させるなんてのは、リアリティあった。でも、パトカーの中で仲間うちで「悪事」を語ってるだけってのは弱い。システムとして悪が発生してくるところをキャッチしてもらいたいのに、人格の低劣どまりになってしまう。システムの腐敗が、眼を輝かせていた新人を駄目にしていった、って言いたいんだろうが、そこがもひとつ出てこない。上司の描写なんかも問題。人間が駄目だから組織も腐る、って感じになってしまう。怖いのは人格の低劣から生まれてくる悪ではなく、立派な人格から生まれてくる悪だろう。主人公も5年飛んだら、サングラスかけてタバコ吸ってるって、あまりにも分かりやすい変貌。人格も低劣になって未成年と泡風呂に入ってる。ただただ人格がマジメのまま、上司へ忠義ゆえの悪への傾斜じゃいけないのか。そういった「大ざっぱ」感が、随所に見られた。日本の「記者クラブシステム」の情けなさを訴えてくれるのは嬉しく、大新聞が後援した映画では出来なかっただろう。だけどこれも具体的な画像としては記事の配信場面でのナアナアぶりぐらいで、外国特派員クラブの会見での言葉によって集約されてしまうのはつまんない。日本語と英語で丁寧に繰り返して、ここんとこ大事よ、と強調したつもりなんだろうが、映画の画面としてはこの反復は緩むだけだった。ときにカメラが回り込む動きをするのは、ちと面白い。「サスペンス&ミステリー」の棚にあったんだから、もうちょっと映画としてのサスペンスが欲しいなあ。