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<ネタバレ>考えてみれば、これ、かなり暗い話なんだ。変に過去の重圧を背負い込んでしまった女の子が押し潰されていく、って。もちろんいま“家系の存続”なんて自然主義文学のテーマみたいなものがマジで出てくるわけもなく、映画はユーモア系で押していくが、でもそれがパロディってのでもないようで、つまり作中のよっちゃんが人のトラウマを歌にしていったように、なにか「自然主義文学になってしまいかねない剣呑なもの」を「歌のようなもの」に変換していった映画なのだろう。違うかな。ドキュメントタッチのところが、ドッジボールの場など良く、そしておそらく本作最良の場、笛教室の子どもたちが勝手に遊んでいるシーンが素晴らしい。羽仁進の『教室の子供たち』のようなカメラを意識しない自由さで、マンガ本に色塗りをしている子、壁の落書き、風船遊び、国語の教科書を淡々と読み上げていく声、などが交響し盛り上げていく。ドキュメント調でありながら、未来の復興し得た林家の幻想のようでもあり、そしてこのシーンは白い光で閉じられる(この映画のほかのシーンは黒みで終わって次に続くようになっている)。田舎の風景の適度な広さが味わいで、家の玄関前とつながる隣りの畑の見通しの良さが心地よい。滋賀県だそうだ。ならラストで走ってたのは琵琶湖の岸か。[良:1票]