秋のギャング。渋いの。『ゴッドファーザー』がイタリアオペラを .. >(続きを読む)
秋のギャング。渋いの。『ゴッドファーザー』がイタリアオペラをバックにすれば、こっちは当然ロンドンデリーエア。近づく足。床をこっちに走ってくる銃弾。ドア越しに倒れる男。窓辺で踊るように撃たれ続ける男。そして繰り返される「帽子」、これだけは手放したくなかったのね。遠く母国のアイデンティティを保持していたのか。仲間を失っても持ち続けていた。室内シーンが多く、あの森だって深く閉じてる部屋のよう。ギャングものなのに、走らない・動かない映画。J・タトゥーロのバーニーの印象が強く、ただの馬鹿なチンピラには違いないんだけど、「悪魔のような卑屈さ」があって。他人を呑んでかかっている、その恐ろしいほどの世の中に対する軽蔑。いやもっと大きな何かに対する軽蔑でいっぱいになっている人物。彼がいることで、スタイリッシュなギャング映画が、もう一つ記憶に刻まれる作品になった。