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<ネタバレ>いくつかのモチーフが作者のなかで溶け切れないまま仕上がってしまったようなところがある。だからいろんな面から観られる。潜在的な自殺願望者であった神父が、吸血鬼になることによって成就する話。現代のシンデレラが神父によって救出されるが、変な方向に解放されていく話。不倫の男女が女の亭主を殺すことに成功したが、その亡霊に悩まされるという古典的な怪談話(個人的にはここらへんの線が好きです)。もっともソン・ガンホの神父顔やら吸血鬼顔やらは味わい深いユーモアをたたえていて、そこらへんに徹しはっきり喜劇の線にしてくれてもよかった。ラスト近くのマージャンの場から殺戮に至るあたりは、ホラーコメディとしていい線いってる。でも映画全体としてはなんかどれも中途半端で、その多面体ぶりを楽しむってとこまでは、こちらの心に余裕がなかった。人物ではヒロインの義母が存在感たっぷり。主人公たちはとうとう最後まで彼女は生かしておく(あんまり血がおいしそうではない)。血をすするカトリックも、孝を強いる儒教の伝統の根強さには負けるってことか。