この監督、暖色系の気味悪さを発見したのが手柄だろう。赤や黄色 .. >(続きを読む)
この監督、暖色系の気味悪さを発見したのが手柄だろう。赤や黄色、なかんずくオレンジ色。自然色じゃない人工色の世界。どこかオトギの国の不気味さに通じていく(メイキャップという仕事も人工の世界の仕事)。当然ストーリーは室内劇とならざるを得ない。主人公は気のいい女、最悪ニュースのレポーター・アンドレアの対極、ドラマの展開しやすさからいけば主役脇役が逆になるところだが、これがどこかオトギの国に通じていくキカが軸になる。オトギの国の犯罪。どこか話が閉じていて、テレビというものの閉じ具合と関係づけているのだろう。他人の不幸。暗い人間は死に、見捨てられ、キカはヒマワリを背景に旅立っていく。映画とは、現実に対するオトギの国と割り切っているのだろうか。常連ロッシ・デ・パルマのことを、ピカソの絵から抜け出てきたような、と言うのはうまい。