職業軍人たちの誇りと焦りと諦め、というあたりがよく出ている。 .. >(続きを読む)
職業軍人たちの誇りと焦りと諦め、というあたりがよく出ている。仏のほうはもう次の世代へ譲り渡そうとしている。独のほうは最後の礼儀正しさで、自分の階級をまっとうしようとしている。そしてその次の世代というのは、より残酷な世界大戦で闘うことになるわけだ(当時のルノワールが予想していたわけではなかったろうが)。各国語をそのまま使っている。ジャン・ギャバンが次の捕虜に地下の穴を伝えようとするが「ワタシフランス語ワカリマセ~ン」となる。あるいは逃走中のロマンス。互いに理解できぬ言葉で語り合う場面の哀切さ。あるいは独房でフランス語を喋りたい、と叫ぶ。戦争を言葉の面から描いたのが貴重。演芸会に至る部分はよかった。女装の男を見てみながシーンと静まり返ってしまう。あるいは窓辺での会話「子どもたちは兵隊ごっこ、兵隊は子どもの遊び」って。当時のヨーロッパの細かな情勢や文化に詳しいと、もっと面白そうな部分はある。国境も幻影だが、最後彼らが撃たれなかったのも、国境に守られたからな訳で、ここらへん皮肉なのか。そういう感じでもなかったな。