<ネタバレ>白人が無力にアジアから退場していって幕になるってところが、こ .. >(続きを読む)
<ネタバレ>白人が無力にアジアから退場していって幕になるってところが、この作品の眼目でしょうな。もう自分の正義を振り回せない。西洋人がアジアを見るときの戸惑いが、そのままフィルムに定着しているようなところがある。変にビクビクしてしまうところ。昔の西洋映画のアジア観とは、ずいぶん違ってきた(といってもオーストラリアってのが微妙な位置にある西洋人社会で)。しかしなんといってもビリーね。あのキャラクターの印象は強烈。いい意味での憂国家なの。俺はここで生きるしかないんだ、という切実さがある。記者仲間のドローンとゆるみきった雰囲気、ベトナムへ行きたがっているわけ。よその「もっと面白いところ」へ行ける連中。けっきょくそれは帰る安全な場所があるからなわけで。群衆デモシーンに迫力があった。共産地区の田舎の風景と不安が重なるあたりのうまみ。メル・ギブソンが友情のために走ってくるが間に合わない、っつうのは出世作のラストと同じ。友情を描く作家なんだなあ。