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<ネタバレ>私はこれが喜八で一番好きな作品。どういう組み合わせだったのか安部公房/勅使河原宏の『おとし穴』との二本立てで名画座で見た(次の週には『下町の太陽』と『気違い部落』の二本立て見てる。名画座文化の良かったのは二本立て制度で、ついでに見たもう一本で世界がどんどん広がっていったことだ)。今思っても、喜八監督のリズム感が全開した名作ではないだろうか。ドンツク・ドンツク・ポッポーなんてたまらない。砂塚秀夫や中谷一郎など常連が生き生きしており、ミュージカル合戦にもなっていて、和ものとあちらものが対決する。とりわけ和ものの使い方が秀逸で(邦楽ミュージカルってあんまりないから)、勧進帳の「毒蛇の口を逃れたる」がバキュームカーのホースになぞらえられたりする。三百万三百万と心の声が呟いたり、ドンツク・ドンドン・ツクツクに合わせて体が起きてきたり、楽団員がみな眼帯してたり、私の趣味がカタヨッていったのに、大きく影響した作品だったなあ。