意味ありげなものを重ねて重ねて、意味から遠いところへ行くのが .. >(続きを読む)
意味ありげなものを重ねて重ねて、意味から遠いところへ行くのがこの人の世界。だから「解決編」と思ってはいけないんだろう。非難すること、されること、あるいは「糾弾」というきつい言葉を使ったほうがいいのか、それが繰り返される。手が汚れているとネチネチ言い出すあたり、車で見知らぬ男に急に糾弾されるシーンとか、自分の分からない理由で、あるいはぼんやりと「あれかな」という程度に思い当たる理由で、不意に糾弾されるんじゃないかという不安。この作品の手応えはそこらへんにありそう。へんにオカルトがかった部分はつまんない。それはそれで「糾弾」で、叫ぶけど、叫べば叫ぶほどウツロなの。ウツロで埋めるために叫んでいるような。この監督、力がこもるのはいかがわしい場所のシーン、音楽の力もあったけど、思春期の若者の目を通してみられるその雰囲気がなんか独特。外側にだけ世界が広がっていくんじゃなくて、内側にも広がっていく。覇気のない歌声に導かれて。赤と青。それと安っぽいセット趣味も独特。赤い部屋なんか。宙吊りにされる、ゆっくりとした前傾。なんなんだろう、こういう趣味。ブームになるような万人受けするもんじゃないと思うんだけど。