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カトリックの国の監督たちはかえって否定的な宗教観を持っており、フェリーニやブニュエルを見てくると辛辣な目でカトリックを捉えがちになる。本作もカトリック批判の映画ではあろうが、非カトリック国のせいか冷静に眺められ、貴重な映画体験になった。とくに前半の修道院の部分が素晴らしく、じわじわと周りを取り囲む重苦しさの描き方が圧巻。これはたまらんとすぐ逃げ出したくなるのではなく、こういう世界もアリかなあ、としばらくは様子を見ていられて、でもやっぱりこれはたまらんとなる感じ。この主人公の心のなかであれこれ計りに掛けてる気配が映画としての充実になっている。仕事上の工夫や成果への自足が「高慢の罪」になってしまう。わざと落第することを迫られ、それに疑問を持つと「神への疑い」。これは自伝小説か何かが原作になってるのか。だとしたら沈黙の戒律でたまっていた気分が一気に反動で噴出したのであろう。後半はいささか駆け足になってしまった。