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<ネタバレ>個人的に、良い映画とは何なのか、を静かに考えさせられた。 純粋なことは無害ではないけれど、子供にはどうしようもない感情だってあるし、どうにもできないこともある。犯罪者をコケおろす前に、自分がそういう環境に生まれなかったことが幸せだと思わなければいけない。それを分かっていない大人が、犯罪者を生む社会をつくりあげている。人の不幸は貧乏や裕福だけが引き起こすのではない。リアムはまだ青年で、お金さえあれば、一緒に住む家さえあれば、と思ってもがくけれど、家を手に入れても、母親とは一緒にいられなかった。一緒にいられるのに、一緒にいられなかった。見ている方も、彼の本当の不幸は貧しい環境ではなかったことに気づく。
リアムは母親と一緒に暮らしたかった、ただそれだけ。特別なことは、それが人間社会の中で起こっているということ。「じゃあどうすれば良かったのか?」と聞かれても、答えられる人なんていないだろう。
ラストシーン、自分がどんなに望んでも、どうしようもならいことがこの世にはある、ということを初めて知った16歳の背中がいたたまれなかった。
ローチはいつも、殺さず、甘やかさず、ただ見つめる。それがどんなに大切なことか、どんな心が必要か、自分にはまだ分かっていない気がする。すごく尾をひいた映画だった。タイトルが秀逸。