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<ネタバレ>子どもの頃に感じる、「時間の長さ」が伝わってきたように思う。 「夢」と「現実」をさ迷っていて、とても曖昧だった。 冒頭の場面の憂鬱なピアノの伴奏がとても良い雰囲気だ。 アナトレントがコップを洗うシーンが強く印象に残った。 冷蔵庫からのぞく鳥の爪(カラス?)が強烈な存在感を放ち、危険な感じがして怖い。 母親の幻が消えた後にアナトレントが「ママ! ママ!」と泣きながら母親を呼び続ける。 可哀想なアナ! アナにとって母親の存在がどれだけ大きなものだったかが伝わってきてとても悲しかった。 母親の苦しんでいる様子も痛々しい。 車椅子に乗ったおばあ様の表情がとても良い!存在感が素敵だ。なんて良いキャラクターをしているんだ! 「おばあちゃま」や「癌の母親(妄想)」の存在が、この家の空気をより憂鬱なものにしているのかもしれない。 写真が沢山貼ってあるのも、アルバムをめくるのもなんか良い(ノスタルジック?アルバムっていろんな時代や世界と繋がっていると思う)。 都会の、車の音やサイレンの音が迫ってくるようで、とても怖い。「ピーポーピーポー」というサイレンの音が印象に残った。 レコードから聴こえてくる、とても憂鬱で哀愁漂うサイケデリックなテーマソングが鑑賞後もしばらく印象に残る。まるでメロディーに麻薬作用があるみたいに頭から離れない。この音楽も作品の憂鬱な雰囲気を高めているのかもしれない。 その音楽にのせて踊る少女達はとても愛らしい妖精のよう。 お化粧ごっこをしたり、ファッション雑誌を切り抜いたり、おママ事をしたり、 その神秘的な少女達の遊戯の風景に、少女愛好家はたまらないだろう。 そういった少女の世界観がとても見事に描かれている。 なんだか監督がアナトレントをひいきしているようにみえてしまうが、しかしそれは彼女の持つ魔力故に仕方のないことです。 部屋の中が薄暗いせいか、雨の季節の湿っぽい憂鬱な雰囲気が全体を覆う。 暗いのが美しいと思える映画。 しかし「ミツバチのささやき」と比べてしまうなら、映像の美しさ、神秘的な部分で劣っていると認めざるを得ないかもしれませんね。