サイコホラーと言うより、「殺人怪獣ハスミン」が大暴れする怪獣 .. >(続きを読む)
サイコホラーと言うより、「殺人怪獣ハスミン」が大暴れする怪獣映画。異形の生物ゴジラが街を破壊しまくるように、異形の人間ハスミンは”邪魔者”を破壊していく。要するにゴジラ映画が見せ場として「大破壊」を描きたいのと同じレベルで、この映画は「大殺戮」を描きたかったのだろうとしか思えない。「お前もうちょっと慎重にしてれば、最後ここまでやる必要はなかっただろ」と言いたくなる、前半の行き当たりばったりな蓮実の凶行の数々は、後半のこの皆殺しに行き着くよう(作劇上の必要から)組み立てられたような感じで、今ひとつ釈然としない。何よりこの映画で残念だったのは、殺した生徒の携帯を持ち歩いたり、わざわざ人目の多い学校で偽装殺人を行ったり、蓮実の行動に合理性(ある意味での知的さ)が乏しく、また後半殺されまくる生徒側のドラマも焦点がぼやけているので、誰にも感情移入できず、圧倒的な殺戮シーンでも傍観者になるしかなかった事だ。(スクリーンから目を背けたくなったのは恐怖ではなく、単なる生理的な嫌悪感)まさにジェットコースーターみたいなもので、観終って僕に残ったのは、何らかの「感動」ではなく、ただただ衝撃の残滓である「疲労感」のようなものだった。ただ、伊藤英明の怪演は見事。