<ネタバレ>成瀬巳喜男監督作品、51本目の鑑賞。
成瀬監督作品で、未見 .. >(続きを読む)
<ネタバレ>成瀬巳喜男監督作品、51本目の鑑賞。
成瀬監督作品で、未見の作品としては最も巷の評価が高い作品だけに、観る前は俄然、期待が高まった。
成瀬監督の最高傑作は、加山雄三が本作と同じく主演した『乱れ雲』だと個人的に思っているが、メロドラマという部分で、多分に共通点が感じられ、更に期待が高まり、観る前の緊張感は、最近にはないものがあった。
さて内容だが、加山雄三と、その義姉である高峰秀子との禁断の愛を描いている。
100分にも満たない作品ながら、成瀬監督にしかできないような丁寧な描写で描かれ、濃密な内容となっている。
特にラストシーンは、情感極まる凄まじいまでの完成度である。
ただ、『乱れ雲』に劣る点は、加山雄三の演技にどうも真実味を感じないことだ。
18年間も一つ屋根の下に暮らし、その間ずっと高峰秀子に対する愛を隠していたという設定にしては、熱意が足りない気がした。
又、最後の諦めの早さにも違和感を感じた。
特に成瀬映画なら、もっとパワー漲るしつこさを期待してしまう。
『浮雲』を観た時に感じた、あの観る者のパワーを奪う様なネチっこさが欠けているのだ。
ただし、名作・佳作揃いの成瀬映画の中にあっても、なるほど評判が高いだけあって、上位にくる作品ではある。
そして又、高峰秀子の演技は、加山雄三の熱意が足りない演技を圧倒するかの様に凄まじく、殊に乱れた髪で立ち尽くすラストショットは、強く瞼の裏に焼きついた。