<ネタバレ>高倉健の「奥さん~」で始まるしぶ~い語りかけ。
「奥さん、 .. >(続きを読む)
<ネタバレ>高倉健の「奥さん~」で始まるしぶ~い語りかけ。
「奥さん、体触ってもいいですか」。
おっと、こんなセリフはなかったね。
ところで、武田鉄矢のパートは要らん!
さて、本題。
これはまさしく男女それぞれの性というものを実に雄弁に語っている。
高倉健が雨しきる夜、いきなり倍賞千恵子のもとに現れる。
最初、倍賞千恵子は高倉健をあやしみ、距離を置く。
しかし、高倉健の人間性、男らしさに触れるにつれ、次第に心を開き、ついには恋心が生まれる。
しかし、そこで高倉健は去ろうとする。
男は女に近づき、そして去る。
それを必死に食い止めようとする女。
女という生き物はなんて不思議な生き物なんだろう。
あれだけ最初は煙たがっていたのに、男が意を決して去ろうとしても、そこに食らいつく。
男はちょっとした気で近づいても、女はそれに一度取り込まれると、もう離れたくなくなる。
男の気まぐれ、女の一途な想い。
そして、一度好きになった男が殺人犯と分かっても、好きな気持ちは変わらないという、女の心の強さ。
男女がそれぞれに持つ性質を、実に分かりやすく描いていて見事だ。
最後の電車の中のシーンが、最後の最大の見せ場だが、ここは少々強引さが感じられる。
しかし、そこは山田洋次マジック!
強引だなぁ、と思わされるも、まんまと高倉健の熱い男の涙にやられてしまった。
親が無惨に死んでもこらえたその涙。
その涙も、倍賞千恵子の「待っている」の一言で、あっさり頬を伝う。
ケレンミのあるラストシーンだが、実に力強く感動に導かれた。
山田洋次監督作品としては、『男はつらいよ』シリーズを別格とすれば、本作が最高傑作かもしれない。