<ネタバレ>なんという切ない話なんだ・・・
「別れ」をテーマに扱った映 .. >(続きを読む)[良:3票]
<ネタバレ>なんという切ない話なんだ・・・
「別れ」をテーマに扱った映画で、これほどまでに哀しい映画は観たことがない。
切なくて哀しくて仕方ない。
主人公の青年の気持ちがよく分かる。
綺麗な女性に頼ってもらい、相談まで受けて、余計に好きになったところで、一方的な「別れ」の通告。
そして、その女性が大切にしろと再三言っている母親を捨てて、彼女と一緒に旅立てない事情。
切ない。
切なすぎる。
これより以前の成瀬作品にはない叙情的な作品で、それ以降の作品ともまた異なった、瑞々しさをも兼ね備えた逸品。
成瀬巳喜男のキャリアの過程で、この時期にだからこそ生まれたであろう奇跡的な作品で、心を鷲掴みにされた思いがする。
電車の中で、チョコレートを食べるシーン。
まるでチョコレートの甘い香りがしてきそうなワンシーンだ。
青春の一瞬の輝きを、見事画面におさめた奇跡的なワンシーンである。
成瀬巳喜男のサイレント作品としては、自分の中で最上位にくる作品。
もう一度、書く。
私はこれまで、ここまで切なくて哀しい「別れ」を描いた映画を観たことがない。
そしてこの作品は、そこに瑞々しさをも兼ね備えている。
あぁ、自分の辛かった頃の青春が甦る・・・[良:3票]