<ネタバレ>導入部分こそ、何の話やら見えず眠気に襲われたが、これが何やら .. >(続きを読む)
<ネタバレ>導入部分こそ、何の話やら見えず眠気に襲われたが、これが何やら堕胎に関わる深刻な話だと分かり、一気に物語に入り込んでいった。
ルーマニアの寒々とした風景に目を奪われた。
なんという寂しくて無機質な風景なんだろう。
訪れたこともない異国の雰囲気を味合う、まさに映画ならではの醍醐味だ。
闇医者の横暴な態度、相手の足元を見てやたらに偉そうにする。
どこにでも居そうな、いわゆる悪どい人間だ。
果てには、遠回しに女の体を要求するという陰湿なスケベさ。
(敢えて付け加えるならば、闇医者として人工妊娠中絶を生業としながら、同時進行で女性の弱みに漬け込み種付けをするという、極悪非道なマッチポンプ野郎!)
直接的に刺激的な描写は極力避けられており、そこには好感を持てた。
刺激的なシーンを全面に押し出すような悪趣味なものではなく、妊娠という動かしようのない事実に直面した際、最終的に辛い思いをするのは女性たちなんだと、静かに訴えかけてくる。
無責任に快楽優先で性行為をすること、それに伴い発生する困難な事態。
そして、その困難な事態に世間は無力であり、男性の理解も及ばない。
窮地に追い込まれた女性たちの行動や心理を、静かな中に確かに描いて見せた逸品。