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<ネタバレ>前半はベルイマン作品らしい苦悩に満ち溢れた内容で、気分はかなり落ちる。
それでもベルイマン作品ならではの映像にひきつけられた。
そしてラストは、ベルイマン作品らしいまとめ方で、何かを世に問うような問題提起をしつつ、だが単なる暗い話に終わらせずに、希望の持てる部分を残して、作品に幕を閉じる。
この辺の配分が実に絶妙で、とても巧い。
話としては、とても皮肉にみちた内容である。
子供を望まない女性には子供を授け、妊娠を望む女性は流産を繰り返し、順調に妊娠していた女性には最後の最後で死産、という無慈悲な内容。
だが、子供というものは天からの授かりものであり、産まれるか産まれないかは、人知の至るところではない。
そういった現実の厳しさ、自然の法則の残酷さをベルイマンは観る者に訴えかけてくる。
人間の誕生の神秘、どうにもならない運命、自然の摂理というものの力、そういった要素がふんだんに組み込まれた作品である。
これは現代にも通ずるテーマであって、人工授精や代理母などの、現在進行形な社会的問題にも十分参考になる内容であった。
真面目な作品であり、重苦しい側面もある作品だが、ベルイマンの生命の誕生という問題に対する真摯な考えが、とてもよく伝わってくる作品だ。
中絶などを安易に考えている人間にとって、何よりもタメになる作品かもしれない。
学校の性教育、特に避妊や中絶などをテーマにした授業で、この作品を生徒たちにみせると良いような気がする。