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<ネタバレ>(全面ネタバレ)『黒い画集 あるサラリーマンの証言』にひき続いて鑑賞。
本作はこの作品と全く同じ展開だった。
物語の主軸となる、ある犯罪があって、それに関わるある登場人物は自分本位の考えに基づき、ある行動を実行する。
その行動は一時は成功するが、最後には鉄槌が下され、罰を受ける。
それで「終」という流れ。
松本清張の小説は読んだことがないので、このパターンが松本清張作品の王道なのか、それとも単なる「黒い画集」シリーズ特有のパターンなのかは分からない。
いずれにせよ、パターンが決まっているから、先は読める。
その点はつまらないのだが、作品全体に漲る緊張感や、人々の奥底に潜む「暗黒」の部分を描き出している点において、この「黒い画集」シリーズは非常に面白い。
殊に、本作に関しては、90分という尺の中で、最初の60分は何事もなく進行し、犯人を追い詰めだすのは残り15分をきってからという、意表をつく面白い時間配分が施されている。
そして最後の5分で急展開。
最初の60分のいたって平坦な展開が嘘の様に、急転直下するのだ。
最後の種明かしも面白いが、この緊迫感に満ちた何も起きない最初の60分はもっとゾクゾクする魅力がある。
この作り方が実に良い仕上がりを見せている作品である。
更に3本目『黒い画集 第二話 寒流』を観るのが更に楽しみになってきた。