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<ネタバレ>過疎どころか、人口が増えすぎて、村の生産高では賄いきれない状態となった大日向村。
そんな村の新村長が打ち出した画期的企画案が、満州に150人ばかりを移住させて、満州に「満州大日向村」を作ってしまおうというものだった。
それで村の人口が減れば、急場がしのげるという案で、その後の歴史を知る現代人から見ると、悲劇意外の何物でもない内容だ。
これが結果として、中国残留孤児(邦人)という被害者を生んだわけであるし。
そんな村人達の行動を、何の疑いもなく描いたのが、この作品。
だけど、当時はこういう考えが斬新でいて、革命的な解決案だったという背景を考えると、非常に興味深く観ることができた。
その時代時代で何が正しいと信じられていたか。
そしてそれは、その当時としては間違った選択ではなかったと信じられていた。
かくいう現代においても、それは同じことが言えるわけで、今、私達が常識だと信じて実行していることが、何十年後からしたら、えらく馬鹿げた非常識な行動かもしれないからだ。
日本の歴史上のある時点において、大陸に出れば何とかなると信じられていた事実。
それをありのままに示した本作の価値は評価に値するし、そういった視点で観れば面白味も増してくる。
だけど、単純に映画の面白さとして考えると、そうはいかず、退屈感は否めなかった。
最後に、あの河原崎長十郎と中村翫右衛門の名コンビが、現代劇で活躍する姿を観られたという事自体は楽しかったのだが、彼らの良さが時代劇ほどには出ていなかったのが残念である。