<ネタバレ>冒頭でいきなり、殺された幼児の母親である松たか子が、殺人事件 .. >(続きを読む)
<ネタバレ>冒頭でいきなり、殺された幼児の母親である松たか子が、殺人事件の顛末を「告白」し、それから関連人物が次々に事件にまつわる枝葉を「告白」していくという、異色の構成。
何人もの「告白」がなされ、次第に明かされていく殺人事件の真相。
映像的に暗めのトーンで展開される、このシリアスな物語は、終盤に向かって息つく暇もなく展開していく。
この展開の仕方が見事で、全く飽きさせない。
物語の構成と暗い色合いの映像とがマッチして、独特の雰囲気を醸し出しているのも良い。
ただどうだろう、とびぬけて傑作かと聞かれたら、そうでもないと答えてしまうだろう。
生悪説を前提に、中学生という「少年」が残虐な行為をするという決めつけが少し極端な気がする。
確かに、人の心の痛みを十分には知らない少年が、相手の痛みを理解できず、残虐な行為をするパターンというのはよくある話だけれど、松たか子が担任していたクラスの少年たちは、全員が皆同じように残虐であり、同じような行動パターンをとる。
それが何だか、作り物的な風合いを感じてしまう。
そして無能な他の教師たちの描き方も極端。
熱血教師に恨みでもあるのかと思ってしまう。
総じて面白く、同年に製作された「悪人」と賞を競り合っただけのことはあった。
だが、「悪人」にしてもそうだが、胸がすくような、心が打ちのめされるような突き抜けた何かが感じられないのだ。
中島哲也監督は、現在において、間違いなくトップクラスの監督だと思うが、期待が大きいだけに、この程度の作品でまとまって欲しくない。
もっともの凄い作品を、今後に期待したい。