<ネタバレ>『選挙』で選挙活動に密着して、その裏社会をカメラにおさめた。 .. >(続きを読む)
<ネタバレ>『選挙』で選挙活動に密着して、その裏社会をカメラにおさめた。
更に『精神』では、精神患者にモザイクをかけずに取材し、精神疾患の闇に迫った想田和弘監督。
その想田和弘監督が、今までの2作品で撮ってきた“観察映画”というスタイルの、“番外編”という形で本作を発表した。
この“番外編”という位置付けが観る前からひっかかった。
観た後では、“番外編”というのが、一種の「逃げ」のようにも感じた。
『選挙』での、あのハイテンションと面白さ、『精神』での、あのスキャンダラスで危険な香り、それらと同等のレベルでのパワーが、本作には残念ながら感じられなかった。
思うに、『選挙』と『精神』という2本の“観察映画”が面白かったのは、そのタブーな世界に、果敢に接近戦を挑んだ監督の勇気と気迫が根底に感じられたからである。
“番外編”だから・・・と言われてしまえばそれまでだが、本作には表の世界しか出てこない。
身体が不自由な人、末期がんのご老人。
それらの人を、ストレートにカメラにおさめただけでは、パワーが物足りない。
もちろん『選挙』の面白さ、『精神』のヤバさには遠く及ばない。
というわけで、想田和弘監督には、次回は是非“番外編”とかうたわずに、“観察映画”第3弾として、『選挙』『精神』に匹敵するパワーを持ったドキュメンタリーを撮ってほしい。