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<ネタバレ>『カスパー・ハウザーの謎』の続編として作られた作品だが、ブルーノ・Sは、前作よりまともになっていた。
奇人というより、まさに受難の人。
単にいじめられている様にも見える。
アメリカに渡るという設定が、ロード・ムービィ色を強める。
女を情けで拾ってあげたのに、一方的に逃げられる。
これはほんと切ない。
不器用な善人そのものだ。
逃避行というか、計画無しの無謀な旅。
その顛末は、図らずもがな。
あっけなく破たんする。
これは私自身の沖縄旅行を想起させ、どうにも憂鬱だ。
作品全体が暗めのトーンで曇りがち、話も湿りがち。
きっと、ヴェルナー・ヘルツォークが傷心気味の時に撮ったに違いない。
劇中でブルーノ・Sをいたぶる二人の男が憎たらしい。
大した奴らじゃないし、特別に強そうなわけでもないし、私がその場に居たら、きっとブルーノ・Sを守ってやる!そんな気になる。
この話って要するに、獄中に長く居た不憫なチビハゲおっさんは、シャバに出ても救われない。
守られていた閉鎖的な獄中よりも、むしろ外の方がむきだしに残酷で、容赦がない。
あげくの果てに・・・
この作品を観ていると、福祉というものの重要性を考えてしまう。
いや、そんな真面目な話以前に、いかに世の中は敵だらけで孤独なものなのか。
そんな単純な結論にたどり着く。