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<ネタバレ>イタリアの名匠、ピエル・パオロ・パゾリーニの監督デビュー作。
主演は、パゾリーニ映画の“常連”であるフランコ・チッティ。
この人の顔は何度も見たことがあったけど、顔と名前をしっかり憶えたのは今回が初めて。
他の作品でもかなりの個性を発揮していた彼だが、本作においては主役ということもあって、存在感ありまくりだ。
舞台はローマのスラム街。
主人公であるアッカトーネは職にも就かず、プラプラと日々暮している。
彼の経済的根拠は“ヒモ”。
要するに、自分は毎日遊び呆け、女性に食わせてもらっているのだ。
なんという羨ましい暮らしぶりだろう。
「仕事なんて堕落した人間のすることだ。」
と、彼は劇中でのたまう。
なかなか哲学的なプータローだ。
自分も多分にプータロー気質な部分があるからして、こういった「怠け者の若者」を題材にした作品は、それだけで自分のツボにハマってしまう。
袖まくりをしながら、ガタイのいい(体格のいい)彼は街をブラブラとしている。
ロクに働いてもいないのに、無意味に体格がよろしい。
とあるきっかけで肉体労働を一日だけすることになるが、すぐにバテテしまう。
あのガタイは一体、何の意味が!
見かけ倒しかよ、おい!
そんなとこも自分に似てて楽しかったりする。
そんな彼もついには奥さんに見捨てられ、家を追い出されてしまう。
それでも彼は働かない。
ガタイを活かさない。
しかしながら、さすがにそんな彼でも飯なしでは生きていけない。
「お腹が空くのは、食べることが習慣になってしまった証拠だ。」
と、またしても哲学的なことをのたまうが、要するに腹ペコな彼。
ついには、子供をあやすフリをして、子供の首にかかったネックレスを盗んでしまう。
そうして堕落の道をひたすら突き進んでいくのだが・・・
後期の彼の作品群に比べると、過激な描写はほとんど無い本作。
それだけに、パゾリーニの描き出す独特の映像世界にどっぷりと浸ることができた。
パゾリーニ映画のモノクロ世界は、見ていてとても心地良くなる。
彼の作品群の中で、それを最も強く感じさせたのは、この『アッカトーネ』という作品だった。
巷のレビューサイト等で、非常に評判が良かった為、見ることを決めた本作。
どうやらその「口コミ評判」に間違いはなかった様だ。