小津安二郎の中期から晩期にかけてのワンパターン化したストーリ .. >(続きを読む)
小津安二郎の中期から晩期にかけてのワンパターン化したストーリー展開は正直飽きがくるものの、小津ならではの様式美と色使い、そしてシーンとシーンの合間に挿入される音楽は、軽妙でいて完成度が高い。
小津が長い間かけて自らの様式美を完成させ、それはあまりの完成度の高さに見惚れるほどだが、むしろストーリーにかけてはワンパターンという欠点が同時に存在する。
小津が好きな人なら、小津様式美としてどんどん進化して深くなっていく後年の作品群にのめりこむことだろうが、親子の離別を主軸に描いた後期小津の作品群は、私のような者には、少々飽きがきてしまうのだ。
原節子は限界。
もはや美しくはない。
いや正確に言うと、小津作品の原節子には、かなり前の頃から、その作り笑いに私は違和感を感じていた。
小津の原節子に対するラブコールとは裏腹に、小津と原節子との相性はそんなに良くはない気がする。
この頃の司葉子は、まさに美しさという点において絶頂期である。
若さと大人の気品を兼ね備え、この作品に花を添えている。
オヤジ三人衆の洒脱さは、本作でも健在。
オヤジたちのやり取りの面白さ、背景にあるオヤジたちの豊富な人生経験を垣間見れる深さなんかは、さすが小津である。
このようなオヤジ達の面白いやりとりを撮らせたら、小津安二郎は間違いなく最強である。