<ネタバレ>この作品は小津的ではなく、むしろ溝口的な作品である。
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<ネタバレ>この作品は小津的ではなく、むしろ溝口的な作品である。
それは主演が田中絹代だからという理由によるものではない。
内容的に溝口的なのだ。
田中絹代演じる女性は、ひたすら健気である。
夫(佐野周二)がどんなに酷い仕打ちをしようとも、「自分が悪いのです」と言う。
これは観ていて辛い。
ここまで健気だと、観ていて辛いのだ。
途中まで「何と救いようのない暗い話だろう」と思って観ていたが、終わってみれば、心にじんわりしみいる、なかなかの良作であった。
夫婦の間で、どんな問題がおきようとも、「互いをより深く愛する気持ちを持て」ば、乗り越えられる。
ラストで語られる佐野周二のこのセリフが胸を打った。
「深く愛する気持ち」。
確かに夫婦がより深く理解し、末永く幸せにやっていくには大切な姿勢なのではないだろうか。
とても考えさせられる作品だった。