この監督が描く「救済」の感覚が好きだ。前作『ハッシュ!』ほど .. >(続きを読む)
この監督が描く「救済」の感覚が好きだ。前作『ハッシュ!』ほどの爽快感はないものの、90年代の日本を舞台にどっしりと腰を据えた作りは、他作品にはない安定感がある。人と人はぶつかり合ったりすれ違ったりするが、磨り減った心を回復させるのは人しかないというメッセージが快い。宮崎勤事件をはじめとする日本の暗部を「法廷画家」という立場から見据えたリリー・フランキー扮する主人公の優しい目は、そのまま監督の視線と重なる。木村多江という「女優」を発見した功績も大きい。