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この映画を観ても林由美香のことは全く分からない。しかしだからこそこの映画の魅力がある。ある人物の全体像がわからないということを分からせるためにこのドキュメンタリーは存在する。女優林由美香や本作、そして2011年公開の監督失格(監督の平野はこの映画にも出演している)と、彼女を題材にした作品が何本も出ていることから、その人気ぶり、人をひきつける魅力が有るということは分かる。そして誰も彼もがその喪失を痛んでおり、それでいてセンチメンタルな気分にもなっていない。林へのやさしい気持ちがよくわかるが、彼女が一体何であって、何でなかったのか、それはわからない。その外堀を一つずつ埋めていくことしか、残された者たちにはできないのである。