当然フライシャー「絞殺魔」を観ていなければこの作品の真価は到 .. >(続きを読む)
当然フライシャー「絞殺魔」を観ていなければこの作品の真価は到底分からないのだけれど、それにも増してこのサスペンスフルな緊張と、笑ってしまうほどめちゃくちゃな展開には度肝を抜かれる。一つ一つのショットが洗練されており、ハンマーでの「ゴンッ」という音や、突き落とすときのタイミング、ユーモラスなドッペルゲンガーなど、素晴らしいカットには枚挙に暇が無い。ラストのロードムービー的な展開は黄金時代のハリウッドを意識しているに違いない。踊りながら海に落ちていくロボットとそれを後ろで見つめる男女。素晴らしい構図だ。男と女と車がいれば映画ができる。ロボットが居ても映画はできるということを黒沢清は証明した。