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<ネタバレ>「デンジャラス・ラン」「2ガンズ」に続き、今年も「秋のデンゼルアクション」の季節が来た。
イコライザーは、そもそも昔のTVシリーズの映画化であり、目新しさはないかもしれないが、フークア監督らしい無骨な演出がカッチリはまった作品に仕上がっている。
作風としてはかなりハードボイルドな印象を受けた。戦うきっかけとなったクロエは、一旦退場させ、ラストの再開までひたすらデンゼルとマートンの攻防が描かれていく。
正義の心と、悪人に対する非常さを併せ持つデンゼル、狂気と冷静さを感じさせるマートンの対比が、互いの人物像を行動によって掘り下げていく仕組みだ。捜索、接触、戦闘…その過程が人間描写として機能している点が秀逸である。
それに加えてフークアの演出もまたカッコいいのだ。今時爆発をバックに悠然と歩くシーンをカッコよくみせるとは中々である。
「目を見れば分かる」というド直球(なにしろセリフで言っているのだから)な誘導。その後には人物の表情のクローズアップが入り、いやがおうにも目に注意がいく。このデンゼルの目の演技、そして演出は要所要所でストーリーの鍵となっており、例えば、密室で相手を倒すための算段を立てる頭脳を、あるいは止めをさす際の沈着かつ冷徹な技術など強調する。
スプリンクラーの雨の中、ライバルの前に立ちはだかった時にも、スクリーンに映し出されるのは、やはりデンゼルの目なのである。もはや美しさをも感じてしまうこのシーンのカッコよさ。この手の映画の醍醐味ではないだろうか。
19秒で世の不正を完全に抹消する男。
このコピーを見る限り、斬新な設定もない本作のコピーは難航したことだろう。まだ「夜のホームセンターに現れるDIY妖怪」の方がしっくりくる、こないか。
しかし、それとは裏腹に、本作のデンゼル=ロバートはキャラが立ちまくっており、さらにはB級かと思わせておいて、意外にも味わいのある脚本や演出に唸らされる。
今秋のデンゼルアクションは演技力と渋さで魅せるノワールの良作である。