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<ネタバレ>まさに前代未聞!警視庁庁舎内の会議室で、警視総監、副総監以下12人の上級幹部を人質とした篭城事件が発生した。
犯人は一人だが、拳銃で瞬く間に並み居る幹部らを制圧、非常に手際がよい。それでいて要求はなく、時間をくれというばかり。一体何者?何の目的で?謎は膨らばかり。こうして特命係の一番長い夜が始まった。今後どういった展開を見せるのか、期待をもたせる順調なすべりだしだ。
だが、犯人の身元はすぐに割れ、機動部隊突入によるもみ合いの最中、犯人は射殺されてしまう。緊急時の正当防衛ということで事件は落着、呆気ない幕切れとなる。特命係の右京らは独自に捜査を始める。犯人は元警察官の八重樫で、動機は7年前の反米テロリスト事件に絡んだものと推定された。捜査が進むにつれて、反米テロリスト事件の黒幕は実は公安警察で、中国人マフィアを利用してテロ事件を捏造したものと判明する。動機は、公安の存在意義を世間に認知らしめること。証人隠滅を図って船ごと爆発させるという悪辣なもので、警察官一人が巻き添えとなる。
これに警視庁幹部らの隠ぺい工作、テロリスト事件で婚約者を亡くして復讐に燃える女性警察官、警察庁と警視庁の権力争い等の要素が絡む。単純な事件から複雑な事件へと変貌するが、謎解きの面白さはさほどない。謎はさくさく解けてしまうし、最大の証拠である会議室での録音データは監察官から送られてくる。元々、刑事もので警察内部犯行というオチは芳しくない。現実味が薄い上に、後味が悪い。公安のでっち上げ事件は荒々しすぎて荒唐無稽だし、中国人をイスラム系テロリストに見せかけるのにも無理がある。もっと”らしい”事件にすべきだった。懲戒解雇された生活安全部長が、それだけで警察庁官房長を刺殺するだろうか?また八重樫らが、証人である意識不明の中国人を連れ出して1年間も監禁したのは人道的問題がある。それに窮したとはいえ、元警察官が人質事件を起こすだろうか?警察上層部が真相を握りつぶそうとしても、マスコミに訴えるなり、ネットに公開するなり、裁判を起こすなり、いろいろと手段はあるはずだ。女性警察官は、黒幕の正体をどうして知ったのか?いきなり射殺しようとしたのにも違和感がある。公安はどうして八重樫の隠れ場所を知ったのか?疑問もいろいろと湧く。すっきりしない終り方では、当然観客もすっきりしない。