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<ネタバレ>ジャンルは、ライトSF青春アドベンチャー。ふとしたことから、それをつけた人物の分子速度を25倍も早くする“分子加速装置”を手にいれた高校生ザックの冒険物語。“分子加速装置”とは、手っ取り早くいえば、時間を止める時計のこと。悪気は起こさず、恋人と一緒にいたずらに使う程度だったが、悪の組織に狙われてしまう。この悪の組織がよくわからない。武器製造会社らしいが、国家安全保障局から48時間以内に時計を差し出せとの命令を受ける。装置は未完成で、使用した人物が老化してしまうという欠陥があった。組織はリミット内に、何とか装置を完成させたいらしいが、完成したらどうするのかは不明だ。開発者ドップラーは組織に監禁され、装置を完成するように強要されている。ドップラーは、ザックの父である物理博士の教え子で、彼がドップラーが博士に時計を送ったことが事件の発端となる。
時計の争奪戦と組織に連れて行かれた父親の救出を主軸に、ザックの恋愛、ザックの友人との友情、家庭内不和の解消、ザックの警察からの逃走劇が絡む。それなりに複雑な内容だが、無理なく消化されている。どれも深追いしていないところが長所で、SFに名を借りた青春ものと割り切り、明るく、バランスがよい。冒頭のドップラーの変装逃走場面は秀逸。ザックが警察官に変装して時間が止まったように見せるアイデアは傑作。加速を止める氷結装置のアイデアも面白い。こういうアイデアを積み重ねて、シリアス度をより増せば、「バック・トゥ・ザ・フューチャー」に近づけただろう。同じテイストの作品だ。残念なのは、時計と父親の関係があいまいな点。時計の開発とどう関わったのか?送付された時計をどう扱ったのか?使ってみたのか?脚本に空白部分がある。最後にドップラーは若返って元の姿に戻るが、さてどうやったのやら。売れてしまった赤のムスタングを買い戻せているが、あのいたずらで売買契約が御破算になったのだろうか。ザックが時計を持ち帰り、安易に使用するが、これはいただけない。退屈しのぎにはちょうどよい作品。