<ネタバレ>人物描写が極端に削ぎ落とされているのが特徴。主人公は強盗の逃 .. >(続きを読む)[良:1票]
<ネタバレ>人物描写が極端に削ぎ落とされているのが特徴。主人公は強盗の逃走を手伝うプロの運転手。常にニヒルで、刑事からはカウボーイと呼ばれる。ヒロインは謎の美女ギャンブラー。お金に困っているらしい。二人は会っても笑いもしないし、恋にも落ちない。従来にない映画を作ろうという監督の意欲がひしひしと伝わってくる。犯罪映画だが、よくある刑事対犯人という構図より、男と男、プロとプロの対決という趣向が強い。一種の擬似西部劇で、そのため正義感や倫理感は緩く、アウトローの跋扈する世界となっており、ひと月で市内に銀行強盗が15件も発生する。刑事は相当なはみだし者で且つ自信家、犯人を挑発し、対決を楽しんでいる。カウボーイを逮捕するための方便として、スーパーマーケット強盗犯と取引し、取り逃がす代わりにカウボーイと組んで銀行強盗をさせる。無茶苦茶である。カウボーイの正体も居場所も分かっているのだから、張り込んでおけばそのうち尻尾を出すと思うのだが。カウボーイは気に入った相手とは組まないが、刑事の鼻をあかすため引き受ける。結果は、スーパー強盗犯が刑事を裏切り、カウボーイが射殺する。金を手にしたカウボーイは、札番号が控えられているのを知っており、暗黒街の人物に換金を依頼する。換金の代理を頼まれたのが謎の美女。駅で秘密裏に取引をする換金屋と美女。それを見つめるのは、美女を張り込んで現場に現れた刑事と仲介屋を脅して情報を仕入れた強盗犯の片割れ。結果は、換金屋は刑事に射殺され、片割れはカウボーイに射殺された。しかしカウボーイも換金屋に騙され、金を得ることはできなかった。だがそれが幸して刑事に捕まらずに済んだ。証拠不十分ということらしい。挿話のつなぎが粗い。カウボーイが美女の家を知っていたり、美女がカウボーイの家を知っていたり、強盗犯の片割れが仲介屋の家で待ち伏せしていたりする。最大の謎は、片割れが駅で美女からロッカーの鍵入りのハンドバッグを奪ったこと。片割れは美女も換金屋も知らず、カウボーイが来ると思っていたはず。よしんば換金屋を知っていたとして、それなら何故換金屋の持ったカバンを奪わない。遺憾なのは、カウボーイが拳銃を使ったこと。あくまで車と素手で勝負すべき。そして居丈高な刑事の鼻を明かせなかったこと。彼は二度も騙された。勝利感や爽快感はない。ヒーローとして描いてないので仕方ないが、工夫の余地はあった。[良:1票]